レジリエンスとうつ病
最近、レジリエンス(resilience)という言葉が注目されています。
検索してみると「脆弱性 (vulnerability) 」の反対の概念であり、自発的治癒力の意味だ、などと説明されていますね。
もともとの言葉の意味としては、「跳ね返る」とか「弾力」といったことを表しています。
心理学や精神医学などでは、精神的な回復力とか、逆境に直面しても対処できることといった意味合いで使われることが一般的です。
精神医学などの医学では、従来は病気の原因や悪化の要因などを研究することが多かったのですが、近年、自然回復力や予防などが重視されるようになってきました。
「うつ病を予防するにはどうしたらいいか」
「回復に当たって大切なことは何か」
「再発を防止するためにできることは?」
といったことも、心の健康にとってはとても意味があります。
ポジティブ心理学という分野でも、レジリエンスに関する研究が進んでいます。
最近の研究では、レジリエンスは、
- 新奇性追求
- 感情調整
- 肯定的な未来志向
の3因子から成り立っていることが明らかにされています。
ネガティブな出来事からの立ち直りを導く心理的特性—精神的回復力尺度の作成
困ったことやストレスフルな状況に直面しても、好奇心やユーモアを忘れず、気分が凹みすぎることもなく、きっとうまくいくだろうとチャレンジする姿勢が、レジリエンスを高めるのです。
うつ病などの精神疾患からの回復に当たっても、レジリエンスという視点は重要です。特に、うつ病の回復期や、軽症うつ病、あるいは非定型うつ病には、漫然と休むだけでなく、適切な時期にできることに少しずつチャレンジすることで、自己効力感(自分は対処できるという感覚)を持つことにも意味があります。
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