妖怪のせいなのさ

『妖怪ウオッチ』というアニメやゲームが流行っているとのことで、子どもたちが、宿題しないことやイタズラすることをなんでもかんでも「妖怪のせいに」にして世のお母さんお父さんを困らせているようです。
そのうち会社などでも流行るかもしれませんね。

「キミ、なんだねこのいいかげんな書類は!」
「部長、それはその、妖怪のせいでして・・・」
「山岡くん、また遅刻か!」
「いや、妖怪に呼び止められまして・・・」

などという言い訳をしているとクビになってしまいそうですが、病気や苦しみやうまくいかないことの「原因」に名前をつけて「それのせいだ」と説明するということは、昔から行なわれてきたことです。
人生、予期しないいろんな出来事が起こります。 ハプニングの連続です。 そのたびに動揺したり、困ったりするわけですが、なんとか対処してサバイブしていかなくってはなりません。「妖怪」というのも、よく分からない苦しみや混乱にとりあえず名前をつけてなんとかしようという人間の知恵なんだと思います。

「こんな原因があってこうなっているんだ」という物語は、不安や怖れといった感情を抱える器になるし、対処や問題解決の糸口にもなります。  元英国首相のウィンストン・チャーチルはそううつ病を患っていたそうですが、自らのうつを「黒犬」と名づけていました(ヨーロッパでは、古くからうつはBlack Dogと呼ばれてきました)。

ナラティブ・セラピーでは、「外在化」という方法がよく用いられます。 問題を自分に属するものごととして捉えていると(内在化していると)、「学校に行けない私はダメな私」「うつの自分には価値がない」といった物語になってしまいます。余計に落ち込んで、うまくいかなくなることの方が多そうです。 逆に、その人自身が「問題」だとするのではなく、外にある「問題」とそれに悩まされる人、というように、当事者のアイデンティティと問題を切り離すというアプローチが「外在化」です。家族療法などでも、たとえば「おねしょの虫」というような説明をして問題を「外在化」することがあります。描画や箱庭によって、イメージで何かが表現されることも、「外在化」のひとつと言えるかもしれません。 もちろんたんに外在化すればいいというのではなく、それに対してどう関わるか、それまであたりまえと思っていた物語がどれくら変化するかといったことも大切です。
下の動画は世界保健機構(WHO)がメンタルヘルスの日のために作成したアニメ。


もうひとつ、国際日本文化研究センターの「怪異・妖怪画像データベース」も眺めていると楽しいです。
自分に憑りついている妖怪の正体が分かるかもしれません。(久)

 

神戸・芦屋・西宮のカウンセリング かささぎ心理相談室

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