「やる気が出ない」:焚火と意欲について
焚火
先日、久しぶりに焚火をする機会がありました。
ちょっと寒くなって、焚火で温まるにはいい季節です。
小雨で薪が湿ってしまい、ライターだけではなかなか火がつかなかったので、ちょっと横着をして固形燃料を使いました。
芦屋川の上流には「高座の滝」というところがあって、秋から冬にかけて毎朝焚火を焚いている人たちがいます。まだ暗いうちから、年配の方々が集まってラジオ体操をしたり、焚火にあたりながらビールを飲んだりしています(早朝から)。
やる気が出ない
焚火の炎を眺めながら、「何をするにも意欲が出ない」「やる気を出すにはどうすればいいんでしょう」といった相談をこの頃よく聞くことを思い出しました。日が短くなって冷え込むと、気分が沈みがちになる人も多いし、意欲も出にくいのでしょう。
意欲と焚火ってどこか少し似ているかもしれない。
どちらもじめじめしているとなかなか起こりにくいし、風通しが悪いと消えてしまいます。
最初から大きな枝に火をつけようとしても難しいのと同じで、なにかしようとしたときに、いきなり大きなことに取り組んでも続きません。
まずは火口の小さな炎を小枝が受け止めて、だんだん太い枝に火が広がっていくというように、小さなことから少しずつ始めるというのがコツのようです。
行動活性化
「行動活性化」という行動療法の方法があります。研究では、抗うつ薬による治療と同じくらいうつ病に対する治療効果があるとも言われています。うつ状態になると人はたいてい閉じこもって活動しなくなります。心と身体に必要な休養もあるけれども、あまりに動かないとかえって抑うつを長引かせてしまう。
「うつで何もできない」「意欲が出ないから動けない」のではなくて、逆に「何もしないから意欲もでない」。
だからちょっとだけ何かをやってみる。
少しでも気分がよくなったり、いいことがあると、じゃあもうちょっとだけ動いてみようと感じるかもしれません。
ときどき人に勧めたり、自分で心がけているのは、「1、2分でできそうなことは、思いついたらとりあえずやってしまおう」ということです。
別にたいそうなことじゃなくても、「外の空気を吸いに出る」とか「コーヒーを入れる」「ちょっとだけストレッチ」「誰かに電話する」「裏紙に落書きをしてみる」「鼻歌を歌う」なんてことでもじゅうぶんです。
「やらなきゃいけないこと」や「義務」はできれば後回しにした方がいいみたいです。
こういうのは「太い薪」なので、なかなか火がつきにくい。
遊びから始める
できるだけ目的や意味のない遊びのようなことの方が、火をつけるには適しているようです(内発的動機づけの方が質が高いし続けやすい、ということは心理学の実験でも確かめられています)。
「何もせずにごろごろしていたい」というときにだって、できるだけ気分よく楽しくごろごろしてみようと遊んでみるとけっこう楽しい(こういうのは猫や赤ん坊が上手なので師匠にするといいです)。
また焚火でも眺めながらぼおっとしたいなあと思いつつ。(久)